みなさん、こんばんは。
臨床心理士のゆり(@counseler_yuri)です。
これからいろいろとお伝えしていく前に、まずは発達障害とは、どんな特性があるのか、基本的なところを紹介したいと思います。
なぜ、発達障害、アスペルガー、自閉性スペクトラムなど、いろいろな呼び名があるかと言いますと、
DSMというアメリカ精神医学会の診断基準が改正されるたびに、発達障害に関する診断基準が変わったり、診断名が統合されたりしているからです。
まだまだ明確な基準はできていない感じがしますが、今回はなるべく分かりやすいようにまとめてみました。
ゆるりと読んでいただければと思います。
Contents
発達障害とは?
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の凸凹(でこぼこ)と、その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、社会生活に困難が発生する障害のことです。発達障害は見た目からは分かりにくく「本人の努力不足」や「親のしつけの問題」などと誤った解釈や批判を受けたりすることも少なくありません。
発達障害は以下の4つに分類されます。
- 対人関係やコミュニケーションに関する困難(ASD: 自閉症スペクトラム障害/アスペルガー症候群)
- 注意集中の困難や落ち着きの困難(ADHD: 注意欠如多動性障害)
- 読み書き・計算に関する特定のスキルの困難(LD: 学習障害、限局性学習症)
- 運動や手先の不器用の問題(発達性協調運動障害)
アスペルガー症候群とは?
アスペルガー症候群は発達障害のひとつで、コミュニケーション能力や社会性、想像力に障害があり、対人関係がうまくいきづらい障害のことです。
アスペルガー症候群には大きく分けて3つの症状があります。
1. コミュニケーションの障害
言葉の裏にある意味や行間を読むことが苦手です。言葉をそのままの意味で鵜呑みにしてしまう傾向があるため、社交辞令など人の言葉を勘違いしやすく、傷つきやすい面があります。
2. 対人関係の障害
1とかぶるところが多いですが、社交場面に抵抗があったり、そもそも人に興味がなかったり、相手の気持ちを理解し、それに寄り添った言動が苦手な傾向にあります。
3. 想像力の障害(こだわりが強く柔軟に想像・思考することの難しさ)
いったん興味を持つと熱中しやすい傾向があります。法則性や規則性のあるものを好み、その法則や規則が崩れると強いストレスを感じます。目に見えないものが苦手で、イメージや想像力に欠ける場合があります。
具体的な特徴としては、
■あいまいなコミュニケーションが苦手
言われたことをそのままの意味として受け取ってしまう。アイコンタクトや顔の表情を読み取るのは苦手。
■ストレートな言い方をしてしまう
遠回しやオブラートに包んだ言い方が苦手なため、場の空気を凍らしてしまうことも。
■名前を呼ばれないと自分だと気づかない
1対1でも自分の名前を呼ばれないと相手が誰に対して発言をしているのかわからない。
■相手の気持ちを理解するのが苦手
相手が何をどう考えているのかを想像することに困難さがある。ついでに自分の気持ちや状態を自覚するのも苦手。
■マルチタスクは苦手
同時に複数のことをやるより、一つずつ順番にやっていく方が得意です。
■マイルールがある
自分の決めた予定や手順などを変えないタイプ。変更を迫られて混乱することもある。
■記憶力が高い
興味のある物事に関しては、大量の情報を記憶したり、引き出すことができる。
■集中力がある
興味のある物事に関しては、一度手を付けると熱中しすぎて周りが目に入らないこともある。
コミュニケーションと社会性ってほとんど同じじゃない?と思っていたら、DSMの改正時に、診断名が自閉症スペクトラム障害が変更され、コミュニケーションと社会性も統合されたみたいです。
スペクトラムとは?
自閉症スペクトラム障害とは、
2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において、これまでアスペルガー症候群、高機能自閉症、早期幼児自閉症、小児自閉症、カナー型自閉症など様々な診断カテゴリーで記述されていたものを、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」に統合されました。
『DSM-5』では、「連続体」を意味する「スペクトラム」という言葉を用いて障害と障害の間に明確な境界線を設けない考え方が採用されました。自閉症スペクトラム障害の症状には多様性があり、連続体として重なり合っているという考え方が、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」という診断名に込められています。
自閉症スペクトラム障害の人たちの多くに共通するのは、「社会的コミュニケーションの困難さ」と「こだわりの強さ」です。それ以外にも感覚過敏など、さまざまな特性があります。
自閉症スペクトラム障害と一言で言っても、生活に支障をきたすほど強い特性から、日常生活にほとんど支障なく暮らせる場合まで様々です。
あとは環境との相互作用やストレス状況で特徴が強く出たり弱まったりするので、自分に合った環境を選ぶことも大切です。
ちなみに、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥多動性障害(ADHD)は併存可能です。同程度の障害を持っている方はある部分では症状が打ち消し合うため、外からはより一層分かりづらく、「性格のせい」など理解・支援を受けにくいとうケースもあります。
発達障害の個性について
世の中ではマイナスな面ばかり強調されますが、凸凹があるということは突出している部分もあるということです。
記憶力だったり、感性だったり、技術・知識面なり、発達障害の人の得意なところを見つけて、活かすことで、苦手なところを補えるような工夫が大切です。
例えば、独自の感性からアーティストに多かったり、一つの道を極めるという意味で技術職、専門職や研究職に向いています。コツコツとやることが得意なので、精度を求める作業なども良いでしょう。また場面ごとに生きるので、役割意識がしっかり手しているもの、役者とかもいいのかも。逆に目立つことや個性を良しとしないような会社だと、生きづらくなるかもしれないです。
今回はやや堅苦しい話になってしまったので、明日からもう少し具体的にお伝えしたいと思います。
それではまた明日。